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「無駄」と「あそび(のりしろ)」

47thさんのブログ「のりしろ」(北海道新聞高田さんブログ)、元運輸業の現場に携わったものとして、心がかさぶたをはがしたようにじくっと痛みました。「無駄とのりしろ」は現代では本当に見分けができないというか、社会から「のりしろ=無駄」というように認識されているのではないでしょうか?バブル時代と比べると、ほんとうに「無駄」はなくなったと思います。色々なところで・・・。企業の体力が強くなったと近年いわれていますが、ひょっとすると強度が強くなったが、柔軟性にかけて、もろい状態なのかもしれないと、ふっと思うわけです。で

4月25日の47thのブログ’「のりしろ」とエンフォース’ではこのようにおっしゃっておられます。
「ふぉーりんあとーにーの憂鬱」http://blog.drecom.jp/fallin_attorney/
「アメリカの運輸当局の検査体制は知りません。ただ、私の知っている範囲でいえば違法行為の事後的探査に投じるコストは、日本の比ではありませんし、内部者通報制度をはじめ、そうした違法行為発見の端緒にも配慮がなされています。」

確かにそうなんです。今、アメリカに在住していますが、学校でビジネスケースや倫理のクラスを取るとそう教わります。ただ、私が米系の日本で見た限りではこれが完全に作用しているかと言われれば、多少の疑問がわいてくるのです。

私は日系の航空会社/または系列会社に勤務した後、是非!現場が見たいと思い、米系の航空会社の空港オペレーションの現場に飛び込みました。それは・・・思った以上に秒単位の争いの現場。「オンタイム」といわれる定時出発のためなら何でもやることをいとわず・・・。ちょっと引いてみると異様なまでの職場環境のようにも見えました。慣れるのは怖いことで・・・最初にそう思えた現場も、時間がたつにつれて残念ながら「違うんじゃないですか?」と言えるような雰囲気ではなかったように思います。

47thさんはアメリカの話をされているので、アメリカの会社すべてひっくるめて・・・ということではないのですが、私の場合、日本を含めた太平洋地域ではそういったシステムがあることさえ知らなかったし、本社へのホットラインもあることにはあるのですが、あまりにも激しい労使交渉の行く果て?あまり作用しているようではありませんでした。個人的には「ちょっとここは危なくなる可能性があるから変えたい!」と上司にお願いしても多数はかわることはなく、やっぱりだめなのかな・・・・と思いこんでいました。全然、安全関連ではないの別件ですがアメリカ本社に垂れ込んで、本社から確認が入った途端に首にされた人もいたので、余計若く、「知識のなかった我々」は「たれ込みはだめだ!」と思ったのかもしれません。現場というのはなかなか情報を得るソースへのアクセスというのが色々な意味で閉ざされている気がします。(組合が昔はそういったことを果たしていたのかもしれません。なにぶんにも私は組合に入った事がないので、というか、会社から入らないよう言われていた??)

結局、本当にいろいろと日常のオペレーションの中でちょっと・・・という可能性を見つけるたびに、会社のコスト削減と定刻厳守のプレッシャーのはざまで本当に悩みました。

今も思い出すのは・・・
雨が激しく降りしきる中、バスを使った(今は随分そのような運航がなくなりましたが)出発の際、赤ちゃんとお子様ずれの奥様が、子供を抱え、カート(アメリカではこれがないと車を運転できないので持って歩く人が多いです)を持ち、ミルクとおむつの入った鞄をさげ、やっと歩けるくらいの子供がついていく・・・その先にある出発口(バスへの入り口)は雨にさらされ、階段はとてつもなく幅が狭くて、高い・・・。しかも、がたがきているのか、滑り止めは中途半端にはがれていたり、もはやまっすぐでなかったりして、普通の大人でも危険な場所になっていました。

人件費をけちるあまり、そのゲートにアサインされている人数は少なく、そのお母さんの荷物を持って下におりると、他の搭乗が滞ってしまう・・・

ジレンマでした。


私は当然、回りのスタッフの理解を得ながらも、助けにいっていたのですが、とにかく、ぎりぎりの「遊び」がない運航で、ひとりゲートから短時間でもはずれることによって「定刻」から遅れる可能性が多々あることから、やはりその行動に対して必ず、一部冷たい視線や暗黙の上司のプレッシャーは相当なものでした。(私が小心者だったせいもあるのですが)これは毎日の中の「一コマ」でしかなく、障害をお持ちのお客様へのハンドリング含めて、立ち止まって考えると多数山積していた当時。

本当は悩むほどのこともない、くだらない事なのかもしれません。マネジメントも会社も安全に対してはいつも真剣であったし、(今もだと思います)犠牲にすることはあり得ない!と思っているのです。が、一旦現場に入るとあの狭い社会で視界も考え方も狭くなりがちな上に「プレッシャー」
自分のその選択についていつも揺れていました。

現場のマネジメントがどうあるべきか?また、経営陣はどうあるべきなのか?コストやサービスのバランスを保ちながら、モチベーションや教育についてどう考えていくのか?サービスクオリティとコスト削減をどうやってバランスをとるのか?教育は資質を超えられるのか?

私とって、この現場の経験でいろいろと疑問を持ち、その解決への糸口が欲しくて結局は大学院留学することになったのですが・・・ケーススタディのように「ハイ!ソリューション!」といかないことだけはわかってきました。

話がまとまらなくなりましたが、47thさんのおっしゃっているように「違法行為発見への・・・配慮」という意味では、確かにアメリカのほうがすぐれている部分もあると思います。マネジメントの倫理のケースを探しリサーチする中で、昔勤めていた会社が私が対応に悩んでいたようなケースで当局から警告のみならず改善がないということで、相当な罰金をかせられていたのと共に、改善命令が出されていることを知りました。

その一方で、昔の人たちから「今では遅れを出すと「帰れ!」と言われて、責任とって帰らされてるらしいよ」と聞いたのは同じ頃。現場での「低コスト」と「プレッシャー」は増し、ぎくしゃくとした雰囲気がかわることはないようです。47thさんが危惧されておられるよう、一人の責任に押し付けるのは・・・危険ですよね。定刻に出れないのは現場一人の責任だけでおきる場合はほとんどありません。(はっきり言える!)運輸に携わったものとして、是非、マネジメントの方に、そして、お客様にも、少し一緒に考えていただけたら・・・と。ひょっとするとこれを読んでどの会社かいろいろと思うかたもおられると思いますが、どの運輸業も「安全に対して」軽くみていることはなく、常に「どのレベル」でも真剣に考えているのです。が、様々なプレッシャーから「近視」的に見えなくなり、結局、犠牲にしてしまっている・・そんな中、現場の皆さんはなんとか毎日がんばっている。むなしさが漂うときもありますが、やはり、ひとりひとり、きちんと声をあげていくこと・・・あきらめない事・・・心がけていただきたい。(今はもう現場にもどることができない身分でなにを!!と・・・言われるかもしれないですが)

また、利用者側も利便性、サービス、コスト、安全というのはある程度関連性があるものと理解を頂けたらと思います。

「無駄」と「あそび」の区別というのは本当にわかりにくいのですが・・・やはり「あそび」を少しは残し置きたいと、再度確認しています。

ちょっと思いつきを忘れないように書いているので、論理的でもまとまってもいませんが・・・。ご容赦。

最後になりましたが、運輸業での安全、事故ゼロを目指しあらゆる業種/職種のみなさん、頑張りましょう!
そして、犠牲なられた皆様を・・・深く、深く心からお祈りしております。

追記:お時間ありましたら4月28日「百家争鳴」とわすれな草
こちらのほうもあわせて読んでいただけたらと思います。
これはオペレーションの「責任」側でかいたものですが、残された「犠牲者側」のお話をまた4/28に書かせて頂きました。

自分が運輸業に携わっていたのはもちろん、数年前に肉親(父)を突然の事故(バス停でトラックに突っ込まれた)ことで「責任者」側と「被害者側」の両方考えてしまう・・本当にきつい事故であります。

お怪我された方がも焦らず、でも早い全快・・・お祈りしております。

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Comments

ご紹介とTBありがとうございました。

とても考えさせられる話をありがとうございました。
にょぷろさんのエントリーを読むまでは、これはバブルとかリストラの問題ではなく、日本人の「リスク」に対する耐性のなさに起因するのではないかと思ったりもしていたのですが、米系の企業でも、必ずしもそういうわけではないんですね・・・
ただ、アメリカという国は、言った者勝ち=言わない者の負けというところがあるような気もします。弁護士の仕事もそうですが、アメリカでは相手が何か言って来るだろうということを前提に最初はえらく高めの球を投げてきて、それに対して反論をすることで、話がまとまっていくのですが、日本人はその高めの球を真面目に振りにいってしまうのかも知れません。
何れにせよ、個々のレベルでみれば、仕事や顧客に対する日本人の誠実さは素晴らしいものだと思います。その誠実さが、おかしな形で発露されたり、そうした仕事に対する誠実さそのものが非難の対象となるようなことにならなければいいのにと思います。

Posted by: 47th | April 27, 2005 at 12:05 PM

コメント、ありがとうございます。憧れブログの47thさんから直接のコメントを授業中に発見し、思わず「おぉ〜!」と怪しい日本語を発しそうになってしまいました。

これは個人的な経験に基づくことなので、同じ日本支店にいた人でも違うように感じている人もいるはずですが・・・と前置きした上で・・・やはり外資系が日本で営業/運営を行うとなればかならずどこかでなにかのゆがみがでてくる・・・そんなところが47thさんのコメントから思い出されました。

それは人事制度かもしれないし、はたまた本社が「うん」といわないために日本のマーケットに沿った商品開発ができずに困っている営業などいろいろなパターンがあるように思われます。この事にも興味を持って、2年前の夏には日本の外資の人事の方にもインタビューをさせて頂いたのですが、この「ひずみ」の話はとても大きく頷いておられたかたが多く、どこの外資系(特にアグレッシブな米系)で勤務すれば一度や二度、みなさん戸惑い、悩まれるところなのではと推察しております、

このゆがみをなんとか克服するためには結局現場の人たちがなんとか知恵やら体力を振り絞ってアジャストしているわけなんですが・・・

ということで、同じ野球でも日米のストライクゾーンが違うわけですが・・・アメリカ流のピンボールも運営する人が100%日本人となれば飛んできたボールが高めであれ「もはやピンボール」とは誰も受け取らなくなってしまう・・・それか、ピンボール自体(というか野球の実地経験が少ない)から、ピンボールだと思わず全力で振りにいってしまう・・・ということなんでしょうか。

こういうのはシステムでなんとかなるとかいう問題ではないのかも・・・どう思われますか?

丁寧でかつ冷静でありながらも、心の底に熱いものを感じる47thさんのブログ、毎日、授業の合間に訪ねるのが日課になっております。負担に感じる事もあるかもしれませんが、気長に、大切にナーシング・・・47thさんと一緒にしていけたらと思う次第です!
今後ともよろしくお願いします♪

Posted by: にょぶろ | April 27, 2005 at 07:46 PM

はじめまして。bunと申します。47thさんのリンクから伺いましたが・・・

心底驚きました。私は事故が起こったのを聞き私鉄の鉄道運転士をしていた父から自分が聞いた現場について、果たして誤解なく理解されるのかどうか全く覚束ないまま、これは書いておくべきだろうと思うことを正確に書こうとだけ思って書いたのですが、私とほぼ同じ視点や懸念に基づいて書かれていますね。そうなんですよね。一般的な仕事の危機管理で対応するのはどうかと思う運輸とかロジスティクス特有の事情というか緊張感があります。そうです。一つの業界の特殊性を主張するのは大変に抵抗があるのですがそれでもやはりここを無視したがためにたとえば乗組員にのみ負担が強いられて「解決」とされるのは見るに耐えないです。

Posted by: bun | April 28, 2005 at 03:59 PM

bunさん、コメントありがとうございます。
運輸業以外をあまり知らなかった(いまもですが)のでこれが独特の特徴だったとか自覚は全くなかったのですが、そうですか。かなり特色があることには間違いないですね。(転職の際も結構業界がらあまりゆうずうがきかずに困るもんなんだそうです)

ダイヤ組の話も興味深いです。路便担当(ダイヤを組むのとにていますが、需要によって増発させるなどの裁量があるところですね)を私はしたことがないので、わからないのですが、やはり職場内で見ていた限りではいろいろなしがらみ(時には政治的要素とか、国際間なので以遠権だの、離発着の制限だの、シベリア上空はなんじ以降は飛べないだの、ほんとうにいろいろと要素があるようです。そんなこんなで、方面別によって出発時間が会社が違っても同じ酔うになってしまう理由の一つだと思いますが。)

今後ともよろしくお願いいたします。
よいGWを!

Posted by: nyoburo | April 28, 2005 at 07:26 PM

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